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 夢を見た。  犬に追いかけられる夢だ。  恥ずかしい話だがいい大人になって犬が怖くてしょうがない。夢の中とはいえ、いかにも怖そうな白い野良犬が襲ってくる。  涎を垂らしながら物凄い勢いだ。現実ならけんもほろろで退散するところだが、そこは夢だ、現実ではありえない事が起きる。  なんと私は反撃をしたのだ、犬に噛み付き返したのだ。  思いもしない反撃に驚いた野良犬は一目散に退散した。    荒唐無稽な夢から目を覚ました私は、半分寝ぼけていたが天敵に一矢報いた喜びから気分は悪くはなかった。  起きた私は、良くした気分そのままに晴天の外を洋々と出かけて行った。  そこまではよかったのだ。  気分よく散歩をしていると夢が現実になった。白い野良犬が道の真ん中に立っている。私をすごい顔で睨みながら。  犬は夢を正夢にしてきた。私に襲い掛かったのだ。 私は寝起きと恐怖と混乱で錯乱していた。思いもしない行動にでた。  なんと、夢と同じく犬に噛み付いたのだ。  がぶり。  犬も夢と同じく驚き一目散に退散していった。  たまたま、一部始終を見ていた少女が悲鳴をあげた。  「きゃー」 「今日子、どうしたの大声だして」 「だって、ママ、かわいい猫ちゃんが怖そうな犬に噛み付いたの」 「きゃ、野良犬よ、今日子ちゃん離れて!」 人間たちの喧騒をよそに一匹のサバトラ柄の猫は来た道をすたすたと引き返して行った。  
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