愛しています

12/15
前へ
/50ページ
次へ
結婚前夜にビールを注いでくれた男が白衣に包まれ立っていた。 高校時代からの腐れ縁が医科大学に進み苦労の末に学長へ。大名行列並みの回診で、手術の同意書の名が知ったものだった。 不謹慎ながら、久し振りに顔でも見れるかと思っていたのが手術室前の長椅子にも病室にもおらずに担当医を捕まえた。 『実は、ご主人は立ち合えないそうでして……』 顔をしかめながら白状する担当医に背を向け直ぐに院長室へと向かう。 そこからの電話が例のものだった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加