コンビニ夜話

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「おかかとツナ、どっちがいい? まあ、どっちも魚だけど……」 「おかか!」  少年は、間髪入れずにそう答えた。  俺は笑って、おかかのおにぎりを、彼の小さな手のひらの上に置いてやった。  ところが、少年は嬉しそうにおにぎりを見つめるばかりで、一向に食べようとしない。 「どうした、食べないのか?」 「うん……ねぇ、このおにぎり、後でお母さんと食べてもいい?」  やはり、少年はここで母親を待っていたらしい。  そんな少年の言葉に、俺は思わず笑みをこぼした。 「そっか、もちろんいいよ。お前、お母さんが好きなんだ?」 「うん! 大好き!」  その少年の笑顔から、どうやら自分の懸念は思い過ごしのようだと分かり、心底ほっとした。 「じゃあ、俺はもう帰るけど、一人で大丈夫?」 「大丈夫だよ。お兄ちゃん、ありがとう」   その日を皮切りに、僅かな時間だが、俺は毎晩その少年と言葉を交わすようになった。  それは、俺にとって癒やしのひととき。  そんな御礼にと、毎回別れ際に、コンビニのおかかおにぎりを手渡すのが常となっていった。
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