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「そっか。今までありがとうな。お陰で楽しかったよ」
「ぼくも。いつも一人ぼっちで寂しかったけど、お兄ちゃんだけがぼくに気付いてくれたから」
そうだ。
少年はいつもあの場所で、毎日寂しそうに座り込んでいたのに。
今まで誰も気付けなかったのだろうか。
それとも、見て見ぬふりをすると言う、それが現代の風潮なのだろうか。
俺は少年の頭をくしゃくしゃと撫でてやった。
柔らかい猫っ毛の髪が、指に心地良く絡まって来る。
「じゃあ、元気でな」
「うん、さよならお兄ちゃん。毎日おにぎり、本当にありがとう」
そう言って、お互いに手を振り、俺はコンビニへと向きを変えた。
「あ、そうだ。最後だから、またおにぎり……」
そう言って振り返ったが「あれ?」と、すでに少年の姿は、その場から影も形もなくなっていた。
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