scene.2

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 高嶺の花。  わたしは影で、そう言われている。  綺麗とか可愛いとかの良い意味ではなくて、愛想がないとか高飛車だとか、たぶんそういう意味。  ゲーム感覚なのか、わたしに別に興味がある訳でもないのに、落とせるかどうかで誘ってくる人も、最近多くなってきていた。 ――本気にしてたら笑える。絶対、自分が一番かわいいとか思ってるよね、あの子。  どっかの部署でくだらなくもそれで賭け事している人たちがいるらしく、 そこの女子社員たちが女子トイレでそう話していたのを偶然聞いてしまったのは、つい先日の話だ。  本気で受け取るもなにも、よく知らない人たちに誘われても断るだけだったわたしは、彼女たちの会話の内容に気分を害した。  自分の預かり知らぬところで発生し向けられる敵意みたいなものにうんざりし、そして、それにわざわざ落ち込まされる羽目になった。
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