scene.2

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「俺が誘ってたら、行ってた?」  その意味がわからなくて、眉をひそめる。  すると、陽は丁寧に質問を繰り返した。 「あの日がなくて、ただの先輩の俺がさっきの奴みたいに誘ってたら、行ってた?」  陽が言う“あの日”は、確認するまでもなく、二人の関係が始まったあの夜のこと。 「絶対行ってない」 「だろうね」  陽は肩を揺らして、さも楽しそうに笑う。  腕時計に視線を落とすと、 「あ、出なきゃやばい。前頼んでた書類、出来たら俺のデスクに置いといて」 と言って、部屋を出ていった。
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