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「触れてもらえる片思いと、触れてもらえない両思いだったら、どっちがいいんだろう……」
ため息混じりに呟くと、向かいに座っている詩穂(しほ)は目を丸くした。
「どういうこと?」
「そのまんま」
きょとんとしている詩穂から視線を外して、テーブルの上のすっかり冷めてしまったうどんを啜(すす)る。
陽と会った次の日は、いつもこうやって食欲がなくなる。
たぶん、自己嫌悪とか切なさとか、なんかそういうのが原因で。
「そら触れてもらえる両思いがいいでしょ」
「もー、どっちかっ」
「どっちかって……。美亜、高瀬さんとなんかあった?」
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