scene.2

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 雨の降る中、空車のタクシーを探したけど、週末で雨だからか、タクシーは全然捕まらなかった。  五年前のことを思い出したせいか、今日こんなにも最悪なのは、わたしが22にもなっていまだに処女だからなんじゃないか、て思った。  雨もタクシーもミュールも痴漢も先輩も取引先も、あいつみたいに、わたしが処女だから馬鹿にしてるんじゃないか、 って、アルコールでグラグラと揺れ続ける頭で、本気で思った。  今思うと、全く関係ないし馬鹿げてるけど、その時はそう思って仕方なくて。  いまだに処女の自分に、腹が立って仕方なくて。  そんな気持ちで、どしゃ降りの雨の中を傘も差さないで歩いていた時、偶然陽に会った。  ずぶ濡れのわたしの頭上に、傘を差し出す笑顔の陽が、どっかのお姫様を助けるヒーローみたいに見えた。
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