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この会社の入社式で知り合った同期の夏川(なつかわ)詩穂は、最初の研修が一緒だった縁で仲良くなり、
疎遠になりつつある学生時代の友達たちに代わって、今では何でも話せる1番の親友。
だから、陽との関係は決して人様に言えないことだけど、詩穂にだけは話していた。
「……むしろ何もない」
昨日もいつもと全く一緒。
陽は優しくてずるくて余裕で。
わたしだけが陽に夢中で、熱に浮されてた。
陽の焦げ茶色の目に映っていた、情けない自分の顔を思い出して、ますます食欲がなくなる。
お箸をお盆に置くと、詩穂は半分以上残っているうどんを見て、ため息をついた。
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