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「……なんですか?」
「あのさ、じゃあ、携帯番号教えてくれない? アドレスと」
しつこいな……。
交流もなければ名前すら知らないのに、その馴れ馴れしい態度についイラッとして、肩に置かれた手を少し乱暴めに払う。
「いいです」と一言だけ言って、営業部へと足を進めた。
だけど、すぐ近くの角を曲がったところで、また足を止めることになった。
いつからいたのか、腕を組んで壁に寄りかかっていた陽が、わたしを見て笑っていたから。
「……なんですか?」
「さすが高嶺の華って呼ばれるだけあるなぁーって思って。
断り方ひどいね。もうちょっとなんかないの? オブラートに包んだりとか」
「高瀬さんには関係ないです」
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