妄想痴漢列車2―変態な俺の初めての夏休み―

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 なにがどうしてこうなった? いや、ナニをアレしたからこうなったのか。  俺は今、何故か姉貴の部屋で正座している。お姉様、凄くいい笑顔なのがたまりません。集中砲火の予感しかしません。骨拾わないでください。 「いやぁ、まさかCD借りに行ったら弟のオナニー見るとはねぇ」  大学生の姉の口から恥ずかしげもなく「オナニー」と出ます。俺も俺だけど姉も姉です。 「しかもさ、お隣の和樹くんの名前呼びながらってのがまたさ」 「……」  完全にあいたたた…な部分から見られてた。ってことは…。 「しかも自分で後ろ解しながらなんて、アンタ結構な好き者よね」 「もっ、もう勘弁してください」  土下座でも何でもしましから、これ以上は止めてくださいお姉様。これでもガラスのハートなんです。繊細なんです。変態ですけど。  姉貴は尚もご機嫌だ。なんせこの人筋金入りの「御腐れ様」だ。きっと俺の事もネタくらいにしか思っていない。  それを証拠に、姉貴の勝ち誇った笑みが俺を見下ろしている。 「で? 和樹くんの事が好きなわけだ」 「あ、いや、その……」 「もしかして…両思い?」 「いや!」 「しかも既にラブラブなエッチとか!」 「違うし!」  ダメだ、この姉に勝てない。俺がアホなのもある。分かりやすいのもある。  なんにしても、詰みどころか完全アウトだ。 「もしかして、私のコレクション見てたのもアンタ?」 「…違いますよ」 「嘘ね。私、本の並びとかすっごく拘ってるんだから」  …違和感持ってたわけですね、はい。でもまさか弟がとは思わなかったんですね。  で、どうすんの姉貴、この空気。弄り倒してフォローなしにリリースとか止めてよ。 「それにしても、まさかこんな身近にリアルがいたとは。世の中狭いなぁ」 「ははっ、そうっすね…」  腐った姉の弟がリアルって、どんな下世話な奇跡だよ。 「ねぇ、やっぱり痛かった?」 「もう止めてったら!」  実姉の前で泣きべそ土下座をした俺は、どうにか姉貴の魔の手からリリースされました。
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