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事務所の中に入ると、高梨は思わず唾を飲み込んだ。
先程までの、黒ずくめの人物の代わりに、セーラー服を着た黒髪の整った顔立ちの
少女が居た。
少女は細いフレームの眼鏡を指で上げながら、高梨に視線を向けた。
「歌舞伎町のこの時間は物騒なので・・・毎回、こうさせて頂いています」
首の後ろを擦りながら、状況が理解出来ない高梨を見ながら少女は優しく微笑んだ。
その微笑みは、暖かい日差しの様に思えた。
「先程の、名刺を渡したのが、私です、全身黒ずくめですいません・・・この時間帯は未成年
が出歩ける場所でもありませんから・・・この格好で・・・」
「でも、不審者がられるでしょう?その姿なら・・・」
「大丈夫です・・・近くまで爺やが送ってくれますし・・・もし不審者として絡まれても、記憶を消しますから・・・」
高梨は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
「さて・・・やりますか・・・もうこの辺りも限界が来ているので・・・」
三杉千影は、リュックから何に使うか分からない様々な道具を出した。
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