ケータイストラップは見た! 週刊文春女性編集長編

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 僕はぼやいた。 『もうここに5年以上居るくせに! 礼儀知らず! あんたなんか嫌いっ! うわーん……』 『おーよしよし、でもあいつは人間のいるところで本物の声を聴き分けているんだから、高望みはするなよ』 『だってえ……』  泣き始めたぬいぐるみと、なだめ始めたぬいぐるみがいる。  壁一面にずらりと並んだ、キャラクターのぬいぐるみをはじめとしたうさぎグッズ。  遊びに来た人は必ず面食らうのだ。 「んー、いい子でちゅねー」 『これだけ仲間がいれば寂しくないってあはは』  彼女……いやご主人がひとりぬいぐるみを選んで、幼児語で頭を撫で始めた一方で、真理を突いている者がいる。  その後、めちゃくちゃ大きなぬいぐるみに抱きついたまま、ソファに座る。革張りの、よろしい奴。  スースーと、寝息が聞こえてきた。  最も大きいぬいぐるみに顔をうずめている。 『ご主人疲れているんだねー』 『今日は締め切り日にしては早く終わったよ』 『いつもいろいろ教えてくれてありがとねー』 『どういたしまして』 『あんたが貴重な情報源よー』 『さて、僕らもそろそろ寝ますかね』 『おー』  と落ち着きかけたところで、 「いけないっ! メールしなくっちゃっ!」      
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