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ご主人は、顔をうずめていたぬいぐるみから飛び起きた。
僕のいるミニテーブルにご主人の手が伸びる。
落ち着いていたところを、揺らされる僕。
ご主人の指が迫る。
指が落ち着きなく動いて、文章を打って送信。それを2回繰り返した。
電話がかかってくる。
「はい」
ご主人が電話に出た。
会社より柔らかく感じるのは気のせいだろうか。
「明日の夜はダメ。友達から相談に乗って欲しいって言われてるんだもの。明後日なら土曜だから一日空けるから。ねっ?」
5分後、彼氏の説得が終わったご主人は、電話を切ると、お風呂場の方へ行った。
(3)
会議で、編集者が持ってきた企画について話し合って、それが終わったのが19時過ぎ。
「エリー、ごめーん、遅くなって」
?町駅近くの小さい、ビストロ、って言うのかな? そういうお店にいた。
「待ったよー」
「遅くなっていいの?」
ショートヘアにローヒールのご主人とは全然違う、巻き髪に、流行ってる? 肩を出した服装に、リップグロスつやつや、の女性だった。
「いいのよ、もう」
女性は「やさぐれた」表情をしているように見える。
ため息をついた。
「頼もうか。お腹が膨れた方が建設的になれそうだもんね」
言って、ご主人はメニューを開く。
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