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「ミカ」
今お友達が呼んだ「ミカ」というのがご主人の名前ね。
「ん?」
「たばこ、いい?」
眼だけメニューから上に出したご主人に、お友達は言った。
「ダメ。あたしは煙が苦手だって昔から言ってるじゃない」
「ミカ相変わらずだね」
「子供と言われても悪いかで済ますわよこれに関しては。オフィスの分煙化の先頭に立った女だからねあたし」
けんもほろろに断った後でご主人は、過去の武勇伝を語った。
コース料理が順に出てくるテーブル。前菜、パスタ、お肉……
あとはデザート、という頃になって、ご主人は、
「相談って、オトコ?」
「……うん」
「あんたがやってないことってもう、彼氏の子供を孕むくらいだと思うけど確か」
……?
「旦那の子供を妊娠した」
「よくわかるね。めでたいじゃん。
なおさら煙草ダメじゃん、何してんの」
言ったお友達はため息ついてる。
「もう離婚したいのが本音なんだよね……」
「あんたは資格も何もない専業主婦なんだから、よく考えた方がいいよ?」
「ハッキリ言ってくれるよね……」
「幼稚園からの仲だからね」
しばらく2人は黙った。
「あんたさー、相変わらずうさぎ集めてんの?」
「うん」
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