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女を取り囲んでいた男達が一斉に横の壁へと吹き飛び、各自悲鳴をあげた。
吹き飛んだ方の壁は倒壊し、男達に容赦なく壁の破片が降り注ぐ。
しかし、そのすべての破片は男達を避けるようにして墜落し、それによって発生した濃密な煙が辺りを一気に取り囲んだ。
「......一体何が?」
「───大丈夫か?」
「えっ......」
突然煙の奥からそんな声が投げ掛けられる。
「......」
何事かと凝視していると、煙から黒髪の少年が出てきた。
恐らく、心配されたのはこの少年だろうと女は確信する。
「......はい。大丈夫です」
「そうか」
「......」
「......」
そこで会話が途切れ、見つめ合うこと数秒、女から口を開いた。
「あの......もしかしてあなたがこれを?」
「そうだな。まず初級魔法のウィンドで男達を吹っ飛ばしてから、壁に叩きつけた後もう一回威力を強めたウィンドを男達に当て、壁の倒壊を狙った。そして破片が男達の寸前ところで風で避けさせたのは、恐怖で気絶させるためだった。実際全て成功し、今に至っている......が、この煙の量は想定外だった」
「......そ、そうでしたか」
「......」
「......」
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