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また同じように会話が途切れ、見つめ合うこと十秒、今度は俺から口を開く。
「聞きたいことがあるんだが......いいか?」
「は、はい......私がわかる範囲であれば......」
女は特徴的な白い長髪を世話しなく揺らしながら、頷いた。
「それ」
「......? 制服のことでしょうか?」
俺が指差した方向を辿った女は、そう言って首を傾げた。
「学園が何処にあるか知ってるか? 俺は今からそこに向かう途中なんだが迷ってしまっている」
そう言うと、女はキョトンとした後、すぐに満面な笑みを浮かべた。
「ふふっ......はい。私でよければ案内いたします。助けていただいた礼も兼ねて精一杯助力致しましょう」
「助かる。ありがとう」
「私も助かりました......本当にありがとうございましたっ......」
「気にするな。あれはあくまで道案内をさせる建前を作るための当然の理由を作ったまでだ」
「そうだとしても、助けていただいたことには変わりありません」
と、女はどこまでも透き通った碧い瞳で、俺を見た。
見透かされているような気がして、とっさに顔を逸らし、これ以上この話を続けるのは滑稽だと判断した。
「......まぁ、そこまでいうなら気持ちは受け取っておく」
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