5人が本棚に入れています
本棚に追加
「......ここ、これは!? ......いえ......Sランクの冒険者様でしたか! すみませんっ! とんだご無礼を......」
「いや、いい。不審な者を通すわけにはいかない仕事柄、しょうがないことだ」
「ありがとうございます......」
「じゃ......」
「は、はい! 王都へようこそ......ベン・ユーチリス様!」
あ、そういえば
門を通る前に、ふと思い立ったことを門番に言った。
「お前が着てる鎧。消耗が激しくなってるぞ。ちゃんと手入れしとけ。もうすぐで多分使い物にならなくなる」
門番はきょとんとした後、深々と礼を俺に告げる。
「あ、はい......今日ちゃんと手入れしておきます。ご教授、感謝であります」
「まだあるぞ」
「はい......?」
極限まで目を細めて俺はこう言った。
「......俺の前でその家名を口に出すな」
呆然とする門番をよそに、俺は踵を返して今度こそ王都へ入った。
最初のコメントを投稿しよう!