邂逅

3/12
前へ
/14ページ
次へ
「......ここ、これは!? ......いえ......Sランクの冒険者様でしたか! すみませんっ! とんだご無礼を......」 「いや、いい。不審な者を通すわけにはいかない仕事柄、しょうがないことだ」 「ありがとうございます......」 「じゃ......」 「は、はい! 王都へようこそ......ベン・ユーチリス様!」 あ、そういえば  門を通る前に、ふと思い立ったことを門番に言った。 「お前が着てる鎧。消耗が激しくなってるぞ。ちゃんと手入れしとけ。もうすぐで多分使い物にならなくなる」  門番はきょとんとした後、深々と礼を俺に告げる。 「あ、はい......今日ちゃんと手入れしておきます。ご教授、感謝であります」 「まだあるぞ」 「はい......?」  極限まで目を細めて俺はこう言った。 「......俺の前でその家名を口に出すな」  呆然とする門番をよそに、俺は踵を返して今度こそ王都へ入った。     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加