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ラテュは麦で作った生地を伸ばして、豚肉とトマトをその伸ばした生地で包んだ、これまたシンプルな料理だ。これも定番だが、香ばしい肉の香りと一緒に生地を口で含んだ瞬間の旨さはなんとも言えない。トマトの酸味もその後から来るため、さらに舌を満足させる。
俺はボリュームがほしかったこともあり、ラテュを近くの屋台で買った。
「っむ......やっぱり美味い。癖になる味だ」
軽くもう三個はいけると思いながら俺は学園を目指す。
時折道を聞きながら歩いていると、着いたのは
───どこかの路地裏だった。
「......」
自分が方向音痴なのは知っていたが......これほどとはな......
そう自分に呆れていると、不意に
「きゃあああっ!......」
という女性の甲高い悲鳴が耳に突き刺さった。
近いな......
「丁度いい。道を聞くために助けるか」
この先だな......
路地裏を抜けると突き当たりに四つの影が揺れていた。
耳を澄ますと、こんな声が聞こえてくる。
「大人しくした方が痛くないぜ」
「いやぁっ......!? 離して下さいっ......!」
なるほど......強姦の類いか。というかそういうのは売春婦を買ってやってくれ。助けなければならないじゃないか......面倒くさい
「おいおい貴族様。快楽を味わいたくないのかよ? 散々人を戦わせて娯楽を得てるんだろ? だったら快楽だって必要じゃないか? 娯楽だけじゃつまらないだろうからなぁ?」
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