ゼロになる

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ゼロになる

 社内恋愛禁止の社則は私だって知っている。しかし、でも、それは名ばかりで、社内恋愛の末に結ばれたカップルは何組もいる。  それなのに、なぜ私だけが解雇で、あの男が昇進するなんて納得がいかない。  だって、私が他に何をしたと言うのだろう。優秀ではなかったかもしれないが、あの使えない仲良しOLグループに比べれば、よっぽど仕事はできたはずだ。  もう、会社なんて信用できない。  男なんて信用できない。  就職なんかやめだ。  男も一生いらない。  どうせ頑張ったって何にもならない。  これまで、どんなに辛くても頑張ってきた、でも、こんな結果しか待っていないのだ、あの人に好きになって欲しくて、望む事は何でもしてあげた。あの人が好きな服を買って、あの人の好みに合わせて髪も伸ばした。  それでもあの男は私を捨てた。そして私は、また……  『ゼロ』になった。  何が起きているのかわからない。わかりたくない。  どこがどういけなかったのか、二人で一緒にいる時は、本当に幸せだった。この時間がずっと続けば良いと二人で話した。あの人もそう言っていた。  あの人もそう願っていた。きっとその時までは。
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