綺麗に死ぬには……

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綺麗に死ぬには……

「久しぶりだね。有里香ちゃん。まさか、こんなところで会うとは思わなかった。コーヒーは飲まないんだと思っていたよ。いつもアイスティーだったからね」  私はコーヒーを飲まない。だから、注文もしていない。死ぬ直前に、急にトイレに行きたくなっても困ると思ったのも理由のひとつだ。テーブルに乗っているのは、あの男が飲んだコーヒーカップがひとつだけ……。  自称魔法使いの男がいない今は、私のカップだと思われるのも仕方が無い。だけど、代金は私が払ったのだから、所有権としては、それは間違いなく私のコーヒーだった。
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