7人が本棚に入れています
本棚に追加
綺麗に死ぬには……
「久しぶりだね。有里香ちゃん。まさか、こんなところで会うとは思わなかった。コーヒーは飲まないんだと思っていたよ。いつもアイスティーだったからね」
私はコーヒーを飲まない。だから、注文もしていない。死ぬ直前に、急にトイレに行きたくなっても困ると思ったのも理由のひとつだ。テーブルに乗っているのは、あの男が飲んだコーヒーカップがひとつだけ……。
自称魔法使いの男がいない今は、私のカップだと思われるのも仕方が無い。だけど、代金は私が払ったのだから、所有権としては、それは間違いなく私のコーヒーだった。
最初のコメントを投稿しよう!