綺麗に死ぬには……

2/20
前へ
/69ページ
次へ
「座っても良い?」  やはり一人だと思われたらしい。さほどのためらいもなく、彼は座ってしまった。  よりよってその席にだ。魔法使いが言っていた『ある人物』は一体いつ現れるのだろうか、それ迄にこいつをどかしてしまわなければならない。  しかし、何と言えば良いだろうか、本当の事を言えば――これから死のうとしていると言えば、返って居座られてしまうだろう……かと言って、あまり突拍子もない嘘だと見破られてしまう、私は嘘が苦手なのだ。最低限の嘘でとどめよう、そうすればきっと、自然に嘘を覆い隠す事ができる――と嫌いな嘘をつく事に決めた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加