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「ありがとう、有里香ちゃんは僕の『理想の人』だよ。僕の理想の人って『前向きな有里香ちゃん』みたいな人なんだ……ただ……」
「ただ……なあに?」
「ちょっとだけ、『話し方』に気を付けるだけでいいと思うんだよね……」
◇◇◇
――コーヒーショップの外から、二人の様子を伺う、二人の男がいた。
有里香と太一は、傍目から見ると、初々しい仲良しの恋人同士にしか見えない。
そして、同じように街に行き交う人々にも、それぞれ、彼らが主人公であるいろいろな物語が秘められている。
そして、有里香にかけられた魔法は、ほどなく解けることになる。
☆ 魔法の法則
一.魔法をかけられたものは、出会った相手の理想の人物に変身する。
二.魔法使いになった者には魔法は効かない。
三.相手の理想の人物像を超えると魔法が解ける。
◇◇◇
「ユキヒコ君、大丈夫かい?」
「うるさいなぁ、もう、杜夫に戻ってるだろ? まあ、何とか大丈夫だけどね……」
「だから、気を付けろって言っただろ?」
「うん……今度は大丈夫だと思ったんだよ……」
「なあ……杜夫、綺麗に死ぬ方法ってどうすれば良いと思う?」
「二回も引きこもりを経験したら、さすがに分かったよ。綺麗に死ぬには、真っ当に生きることだ」
「だよな?」
「だよ」
おしまい
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