短編 その1 プロポーズ

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残りの時間 心のかすみ その後、 一月に1、2回、社会人となり、話もお互いに対等にできる様になった割井に誘われて、出かける日々。 子育てと仕事という、変わらない日常の隙間。 又、心臓のなる音を聞いた。 呼び起こされた気持ちは封印した昔のまま。 どちらが先に誘ったのかも定かじゃない。逢瀬のたびに、甘く爛れた様に繰り返す男同士の性行為。 俊に言わせれば、高校の時から俺の俊への執着はなんとなく感じていた。 だけど、俺はゲイじゃない、と考える事を振り切ったと。 その後、桜と先生がそんな関係だと、人から教えられ、先生の俺への気持ちはおれの勘違いだと思い直した。 そんな言葉に、取りこぼした時間への歯噛みするほどの悔しさがこみ上げた。 あの時、あんな芝居をしなければ… もうそれなりに幸せな時間を送っていた事を、全て悔しさに変えてしまう、 そんな自分の執念に怖くなった俺は 何度目かの愚かな選択をした、
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