短編 その1 プロポーズ

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残りの時間 輪廻 突然消えたのが夢の中の話だったような電話の声に、 直ぐ応えることもできず。 それでも、仕事の後、桜のいうままに会うことになった。 焼け木杭に火、とはよく言ったもので、 桜と俺は会って直ぐ元の鞘に収まった。 毎週決められた日に、用事を作り、県外のランクの比較的高いホテルにチェックインする。 桜は自分のことを一切俺には伝えずに、俺に快楽のみを与えていった。 そして、同時に心の奥にしまった筈の割井の ことも、思い出すことが確実に増えた。 不倫という始末の結果。 離婚そして、桜との再婚。 再婚した桜には3歳の男の子がいた。 誰の子とも問うこともせずに、始められた新しい生活。 血の繋がりのない2人の子どもと、桜と 4人の生活は、思いもかけず、楽しく優しい時間を俺にもたらした。 そして、病に伏した桜との死別。 遺された2人の子どもと桜を送ったその日に、弔問に訪れたのは 見違えるほど、大人の男になった 割井 俊だった。 かつてのくだらない芝居の原因。 俺の初めての恋。
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