2 チョコ、怒る

1/4
前へ
/14ページ
次へ

2 チョコ、怒る

 ちーちゃんはぼくの毛の色を見て、美味しそうな色と笑い「チョコ」と名付けてくれた。ぼくはその名前も大好きだ。「チョコ、こちょこちょこちょー」なんて言ってちーちゃんがぼくをくすぐってくれる時間も大好きだ。というか、ちーちゃんと一緒にいられるだけでぼくは幸せだ。  でもぼくのそんな幸せな時間にも終わりが来た。  ちーちゃんの隣にいつの間にか、人間の男がいるようになったのだ。そいつはタクというやつで、ちーちゃんより背が高くて力もありそうなのに、ぼくを見ると肩をすくめておどおどし始める。  こういう人間って、散歩中にもたまにいたな。知ってるぞ、こういう人間を「犬ぎらい」って言うんだ。でもおあいこ、ぼくは「タクぎらい」なんだ。ぼくの大好きなちーちゃんの横を陣取るこいつがぼくは大っきらいで、家に来るたびに吠えてやった。 「こらチョコ、どうしていつもタクに吠えるの?」 「ぼく、嫌われているみたいだね」     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加