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タクなんかを庇って怒るちーちゃんをその時だけはちょっとだけきらいになる。どうしてそんなやつ庇うんだよ、ぼくより弱虫だぞ。でもちーちゃんはぼくの気持ちなんかも知らないで、そいつと手を繋ぎながらこちらを見る。タクを睨むぼくを「めっ」て叱るんだ。
「ダメよチョコ。もうすぐこの人と一緒に住むんだから、仲良くしてね」
その言葉を聞いたとき、もうぼくの目の前は一瞬にして真っ暗になったよ。巨大隕石がなんの予告もなしにぼくの頭に突入して、一気にぼくとちーちゃんのパラダイスを粉々にして奪っちゃったんだ。もちろんその巨大隕石は憎っくきタクである。
ええ、何言っているのちーちゃん! なんでそいつと一緒に住むの?
「すごい吠えてる。言葉わかってるみたい」
必死で抗議するぼくをタクがそんな風に言って見つめた。わかってるみたいじゃなくてわかってるんだよ、このバカタク!
ぼくはゲージの前に足を引っ掛けて吠えたけど、ペチコンとおでこをちーちゃんに抑えられて残念だけどお尻を床につけた。
「いい子にしてないと、チョコ仲間はずれにしちゃうよ? 私のお母さんちの子になりたい?」
う、それはいやだ。
たまにちーちゃんちに遊びに来るちーちゃんのお母さんもいい香りがして大好きだけど、ちーちゃんと離れてまで一緒にいたいとは思わない。ぼくが一緒にいたいのはちーちゃんだから。仲間はずれにはされたくないよ。
クーン、と小さく声をもらすとちーちゃんは笑ってぼくを抱き上げてくれた。
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