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私も話すのは苦手な方だ。気の利いたことを言えればいいのに、いつも問われたことに対する回答しかできない。だから、私たちの会話はいつも何か現状を確認するような響きを帯びていた。相手がまだここにいることを確認するために私たちは短い言葉を交わし合う。
彼は右手の拳を額に乗せながら肩を落としながら言う。「せっかく出かけたのにね」。私は「ホントに。久しぶりに会えたのに」と忌まわしげな視線を空に送る。
彼とは二ヶ月ぶりに会った。前はたしかショッピングモールで買い物に出掛けたのが最後だったように思う。会って、話して、食事をして、それだけだった。
周囲からは付き合っている仲だというのにそんな関係は冷たい、冷めてる、ときっと言われるだろう。普通なら毎週、毎日会っていたいと思うのが恋仲と例えられる所以らしい。そうはいっても互いに都合がつかないときもあるのだし、遠くにいるわけでもない。だから何となく会いたくなったら会えばいい、と互いに思っていて、最初からこんな頻度だった。無理に会う必要もない、というのが彼の見解だ。私も変に気を使わなくていいのでこれくらいの距離感で満足していた。
けれども、そんな状態で丸二年が経っていた。出会った当初から何の進展もない関係性はたしかにどうなのか、と自分でも思えるようになり、将来のことを考えると一抹の不安を覚える。
――このままでいいんだろうか。
月日を経るにつれ、ちりちりと焦げるような逸る気持ちに襲われる。
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