29(承前)

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 テルとサイコが先頭、15秒後にジャクヤと兄・継雄がススキの斜面を走り始めた。敵は意表をつかれたようで、すぐには撃ってこなかった。  全速力で30メートルをすすみ、その場に伏せて後ろからくる友軍を援護する。マルミは自動小銃を狙撃銃に持ち替えて、小高い丘の上から攻撃してくる敵に銃弾を浴びせかけた。つぎはタツオの番だった。気がつけば4足歩行のロボットに語りかけている。 「さあ、頼むぞ。隊旗を守り抜いてくれ。いこう」  返事はなかった。ウイーンというモーター音とともに大型犬ほどもあるロボットが立ちあがった。背中に立つ隊旗はちょうど人の顔の高さで、銀白色のススキ野原のなかで青がひどく目だっていた。 「ちょっと待って」  そういうとタツオは手近にあるススキを折りとり、カモフラージュのため戦闘ロボットの背中にさしていく。隊旗が隠れて見えなくなると、耳元で作戦部逆島少佐の声が響いた。 「こちら第一ポイントを確保。王将を運んでくれ」
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