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奪われた瞬間、勝敗が決する隊旗が将棋でいう王将だった。コードネームは戦術支援AIからの提案をもとに決定したものだ。
「了解。時間通りに移動する。援護を頼む」
「了解」「了解」「了解」
兄・継雄からだけでなく、後方の支援チームのマルミやクニからも返事が届いた。こうした戦闘中に聞こえる友軍の声は、勇気を与えてくれるカンフルだった。疲れ切っているときでさえ、新たな活力を生みだしてくれるのだ。
クニの陽気な声が聞こえた。
「神戸牛のステーキがかかってんだ。死ぬ気で走れ!」
タツオは中腰で自動小銃を抱えて走りながら、思わず笑ってしまった。フル装備で30メートルを疾走して約5秒。周囲に弾丸の音が高く低く聞こえるが、撃ち返しもせずにひたすら走り続ける。
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