2・透の想い

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 2時間くらい経った後、主人が帰宅した。 「本屋さんに行っただけのわりに、随分と遅かったのね」  私が細く微笑むと、主人は「急にコーヒーが飲みたくなったから」なんて、まるで誤魔化すように笑った。 「読めたのか?」 「それが、読めていないの。彼が亡くなったってところまでは読んだんだけど」 「……そうか」  暫くの間、お互いに何も言わずに、ただリビングのソファに座って、つけっ放しのテレビが流れているのを眺めていた。 「あのね」  おもむろに私が口を開いた。 「昔にもね、一度だけ透から手紙を貰ったことがあるの」   *** ***  それは、離婚が成立してから2~3ヶ月くらい経った頃だった。  私は実家に帰っていたけど親との折り合いが良くなく、いつも親とは顔を合わせないように生活をしていた。  そんなある日、透からの手紙が私の机の上に置かれていた。
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