2・透の想い

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   それは、中学2年生とは思えないほど雑な汚い文字で、便箋の線なんて無視しているような書き方で、本当に読み難い手紙だった。  だけど、私は嬉しくて嬉しくて涙で顔がぐしゃぐしゃになりながら読んだ。    そして、返事を出した。  その手紙は手元に残っていないから、うろ覚えでしかないけれど……。  私も透が大好きなこと、透は当時4歳だったから、私が生んだ母親じゃないことを知っていると思っていたこと、きちんと話していなくて驚かせて申し訳が無かったということ、そして、いつまでも本当の息子だと思っているから、お母さんだと思って貰えて嬉しいこと。  その時の気持ちを精一杯の文章に変換して、ポストへ投函した。  だけど、それ以来、透からの返信は無く、こちらの手紙も再婚した報告の後から恵一は引っ越したらしく、手紙は戻って来るようになった。  私の方は結婚してから28年、地元でお店を営んでいた主人とはずっと同じ場所に住んでいた。だからきっと、透からの手紙も届いたのだろう。
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