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だけど、貴女は返事を書いてこなかった。そう当時は思っていたから、僕は前を向かなければいけないと思って頑張りました。
結果的には僕を甘えさせなかった父に感謝をしています。
だけど、貴女からの手紙には、僕への愛情がいっぱい詰まっていました。
やはりこれをあの時に読みたかった、ずっと貴女の息子であり続けたかった、という気持ちでいっぱいになりました。
父はあれから再婚もせず、女性と付き合うこともせず、僕は大学を卒業するまで父と2人で暮らしました。
そして、父が亡くなった今、僕の中で親と呼べる人が貴女しかいません。
あれから30年経って、僕ももう44歳になりました。
貴女を想わせる心優しい妻と3人の子どもにも恵まれて、上の子はあの頃の僕と同じ中学2年生になりました。下は小学3年生と1年生です。
貴女には幸せな家庭があることも承知の上ではありますが、30年前の貴女の気持ちが少しでも残っていたら、僕が貴女をお母さんと想っていても良いでしょうか?
願わくは、彼らのお祖母ちゃんとして、会っていただけたら嬉しいです。
突然の手紙で失礼いたしました。
肌寒い夜が続きますが、お身体ご自愛ください。
敬具
荒川幸子様
小田島透 』
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