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だけど、俺は嘘はついていない。
プロポーズの時の言葉を覚えているか?
例え断られても、最後の恋は変わらないし、きっとこのまま死ぬまで君との思い出を肴に幸せに生きていくことが出来る、そう言った。
君と別れた後の30年、俺はそうやって生きてきたよ。
幸子の再婚を聞いて、本当に安心した。
そして、あの別れを切り出した日の君の怒りの涙を思い出したよ。
君の思っていたことは全部間違っている、そう言えないことがもどかしかったけど、それよりも何よりも、感情を露にして俺にぶつけてきた君を、ただ綺麗だな、と思って眺めていた。
この綺麗な女性が俺への愛情を口にしているんだ、と。
幸子を傷つけて本当に申し訳ないと思っている。
だけど、君の幸せを心から願っていたし、幸せな生活が出来ていることを今でも祈っている。
最期にこんな手紙を書いたのは、君を辛い目に遭わせたかもしれないけれど、それでも、君は俺との結婚でも愛されていたんだと伝えたかった。
そして、ずっと愛していたと。
もう俺の妻ではないけれど、最期まで俺は君を想っていた。
小田島恵一 』
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