4人が本棚に入れています
本棚に追加
「…まぁ二人が聞いた方がいい話だしさ」
「うまくかわされた。」
不機嫌な物を座らせ、台所へ向かう。
「あたいも、てつだう。」
「あぁ、好きなやつ持ってっていいぞ」
9歳ほどの双子にも取りやすいよう、飲み物は冷蔵庫の一番下に入れてある。
椎は午後の紅茶を取り出し、冷たさに目を細めた。
「やっぱ好きだなー!お前は!買っといたけど!」
「これ、おいしいの。あまいけど、すっきりする。」
蒼野はオレンジジュースと麦茶を抱え、乱暴に足で冷凍庫を閉めた。
「それしたら、こわれるかも。」
「いいんだよオレん家だし…」
開けっ放しの窓から吹く風は、木の葉の匂いがする。
「にいさん、これ、すきなの。」
午後の紅茶を抱えた椎は、年相応の可愛らしい笑顔だ。
蒼野は内心参りながら椎と目を合わせずに答える。
「好き…です」
紅茶は全般飲めない。
椎は舞い踊る紅葉と同じ色を頬に染め、少し恥ずかしそうに笑う。
急に踏み込んだ裸のフローリングが冷たく感じたが、気にしないようにした。
最初のコメントを投稿しよう!