過去

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「かーっ冷めてんなぁ物!」 蒼野は麦茶を勢いよく飲み干し、空になったコップを殴るように置いた。 「にいさん、あなたはむしろ、としおいてみえる。」 「物おにいちゃん。」 容赦のない言葉に耐えきれなくなり、椎は兄の服を強く引っ張る。 「なにをするんだ、椎。いたいだろう。」 椎は物のオレンジジュースのパックを取ると、重みで手元が震えた。 不安定ながらも兄へ注いでやり、差し出して自分の紅茶をちびちび飲み始める。 物は溢れ出しそうなジュースに、急いで口を付けた。 そんな物が黙ったところで、気の利く妹は優しく言う。 「にいさんはあたいたちがゆめにでてきたこと、よろこんでくれたんだ。」 しかし他人行儀なのは拭いきれていない。そこには気付かない少女は、それきり蒼野の言葉を待つ。 「そうだな…なんか、本当にガキの頃から知り合いだったみたいだって思うんだよ、お前らとは」 こうして我が家に招いてみても、9つ程の二人は遜色ない。接しているこちらも同い年になった気分になる。 しかし実際、知り合ったのは2年前__蒼野が14の時。 双子はその時から微塵も成長していない。
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