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中二の夏。 学校にも慣れて、受験生の肩書きも遠い晴れ晴れとした空気が漂う校内。 あと二つ寝れば、自由な夏休みだ。 …だのに、オレは。 蒼白のベッドに居場所を縛られている。 なんで、こうなった 分かっている。 カッターで切り込んだからだ。 細い腕に腹が立って、メロンパンのような網目を書いてやったのだ。 痛かった。 すごく 悔しかったが、紅いカッターを置いて廊下に立つ。  受話器に汚い血が垂れた。 「痛いんスよ、手首が」 本当は死んでしまうかもしれないと、  死ねるかもしれないと 恐怖が少し、 あ、でも 期待、 は、してない。 だって、死にたくは、 ない、 …のに、 さ、…
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