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蒼野はまたこない。
「行ってくるねー」
「はいよー」
文化祭の準備期間ということで、今日の授業は休み。
代わりに廊下が大量の段ボールや、教室から飛び出たバルーン、作業中の生徒でごった返している。
私は紙くずや空き箱が詰まった大きなゴミ袋を抱え、素早く階段を駆け降りていく。
「委員長頑張れー」
「キミも頑張ってよね!」
茶化してくるクラスメイトに言い返しながら床を蹴る。
真っ白な屋台がいくつか立つ校庭は賑やかだ。
裏手に回って特大のダンクシュートの近くに袋を詰む。奥から出てきた清掃員の方に「お願いします」と頭を下げる。
回収場の近くはやはり、どうしても臭う。
風をきって、クラスがある2階を通り過ぎた。
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