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 物と椎。  二人の姿は思い出の中からずっと変わらない。 「…あいつら…」  蒼野は気だるげに目を開くと、胡座を掻いた。  自然と空を見上げる。  カラスが雲一つない夕焼けを背に、コンサートを開いていた。  大抵は歌い終わる前に二、三匹は群がっていく。しかし中にはどんなに鳴いても、一人ぼっちのカラスがいるようだ。 「…センチメンタル」  なんともなしにふと呟く。  確か、一学期のテストで出題されていた。 「(職員室、寄って帰らんとな)」  無理矢理気持ちを奮い起こして立ち上がると、屋上を後にした。
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