仲間を集めに

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 さらに申し訳なさそうに、ソラが謝るのでエリオットは慌てて、 「いや、いい。でも俺はそんなに鈍って見えるか?」 「はい。昔、剣術大会で見た貴方様は、例え俺でも、剣に関してどんな点においても勝てない、そんな素晴らしい方でしたから。だから剣士になるのは諦めたんです」 「でも、剣は使える……」 「一番じゃないと知名度が無いから駄目って、カミルで言われていまして」  そう笑うソラに、エリオットはカミルを見て、 「……厳しすぎるんじゃないか?」 「でも、ソラならそれが出来るから。僕は出来ない事を要求したりは……あまりしないよ?」  そう笑うカミルに、いつもの気楽さが消えてどこかとても賢く見えて、それ故に威圧感を感じる。  中々の曲者だと思いながら、エリオットは今の言葉で、 「やっぱりカミルはソラにべた惚れなんじゃないか」  そうエリオットは聞いてみるも、それにカミルとソラは、 「もう、どうしてそう色恋に結びつけるかな。そう思わない? ソラ」 「そうだな。そういう所がエリオットの悪い所だ」  そう口々に答えるソラとカミルに、そういう事にしておくよとエリオットは嘆息して……掲示板に張られた紙から普通の馬車に、空きがない事に気づいたのだった。  荷物を積んでいる荷台に乗せてもらえる事になった。  この荷馬車の主は、良い小遣いになったと喜んでいたのはいいとして。 「エリオット、ようやく終わったー」  突如現れた東のディア様は、目に大きなくまを作って虚空から現れると思うと、そのままエリオットに抱きついた。  長い黒髪がさらりと宙を舞い、その姿を隠そうとしていない。  疲れのためかいつもよりも無防備なディアのその様子に、エリオットが必死で劣情と戦っていると、抱きついたままのディアが勇者エリオットを見上げてにっこりと笑った。  「準備が整った。えっとこのルートを進んでこの赤いマークの所で腕試しをしてくれ。ちなみに何回でも手合わせしてやってくれと伝えてある。あとは、一応こちらでも医療班を揃えたから、怪我をしても大丈夫だ」 「至れり尽くせりで、ありがとうございます。俺の最愛の魔王様」 「な! え、えっと……ふ、ふむ。私もようやく魔王らしい仕事が出来たし、五傑という魔王を守る勇敢で強く賢く美しい男の五家の者達にも手伝ってもらって……」
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