第1章

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大好きな悠ちゃんを見送った空港。 悠ちゃんを乗せた飛行機はあっという間に空の彼方に飛んで行ってしまった。 私は人目も憚らず、大きな窓にべったり張り付いて空を見上げていたのだけれど――。 あぁ、もう見えない……。 悠ちゃんを乗せた飛行機、悠ちゃんを連れていく飛行機、悠ちゃんをさらう飛行機、 これっぽっちも、見えない……。 悠ちゃんの前では泣かなかった。 絶対に笑顔で見送ろうと決めてたから……、 号泣したのは悠ちゃんが搭乗口に消えてから、もう我慢できなかった。 明日からの決意は本気でしたけれど、 今日はまだいいよね? 神様、今日は泣いてもいいよね? そう、空に問いかけて、私は泣くどころか鼻水が垂れるような勢いで号泣した。 ズズズッ。思いっきり鼻を噛んでから後ろを振り返る。 「もう、大丈夫?」 ママの私をねぎらう声。 ママとパパ、ゆき枝さんとおじさんが私を見守ってくれている。 「うん、大丈夫」 安心させたくて、しっかりと頷いてみせたら――、 「よし、じゃ、そろそろ行きましょうか」 と、どこからか声が降って来た。 「へ?」真っ赤な瞳で間抜けな声が漏れる。 いつの間にかすぐ近くに誰か立っている。 誰……? 視線を上げた先には 「凄い顔ですね、もう一度、鼻をかんだ方がいいんじゃないですか?」と失礼発言を容赦なくぶつける陸さん。 あれ? 見送りに来てたんだ……。 全然気が付かなかった。悠ちゃん知ってたのかなぁ? 話せたのかな? ぼんやりとそんなことを思いながら、ジッと見つめてたら 「もしもし、泣きすぎて頭やられましたか? しっかりしてください! これからが長いですよ!」 いきなり怒られた。
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