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「は、はじゃじて」
離して、と言いたかったけれど、上手くしゃべれなかった。
目の前の悠ちゃんは楽し気に緩く笑っている。
そして、
「うん、そうだね……。この手、離して欲しいよね」
と言うんだ。
何故だろう?
離して欲しいという私の意図をわかっているくせに、悠ちゃんは一向にその手を離してくれない。
たこチュー姿の変な私の顔を見て、ただずっとニコニコしている。
え、なんで?
悠ちゃん?
目線でどうして?と訴えた私に、
「理子」
と名前を呼ぶ。
パチパチと瞬きするしかできない私に、
悠ちゃんは静かに顔を傾けて、たこチュー姿の私に数秒唇を重ねた。
え?
なんでこのタイミングでキス?
驚いて目を開いたままだった私。
私の頬をはさんでいた悠ちゃんの両手は、ゆっくりと後頭部へとまわされ、そのキスは深さを増していく。
私はゆっくりと瞼を降ろし、その波に身をゆだねる。
何度目かのキスの後、
「理子、好きだ――」
悠ちゃんが囁いた甘い言葉に、私は溺れ、何も考えられなくなった――、
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