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「おはよう、悠ちゃん」
それは穏やかな朝の始まり。
「おはよう、理子」
悠ちゃんの優しい笑顔。
そして、日課となりつつある私の額に小さなキスをくれるんだ。
毎日繰り返されるこの些細な出来事が、私はとても嬉しくて――、その首にギュッとしがみついたら、
「朝から元気だな、俺の理子ちゃんは」と言って笑った。
そして、よいしょと左ひじをつき身体を起こした悠ちゃんは、頭一つ分の少しだけ高い位置から私を見下ろす。
本当は朝の忙しい時間。
こんなことしてる場合じゃないんだけど――、
そう、ないんだけど――、私達はそれもわかっていて、こうして数秒見つめあっている。
俗に言うバカップルなのだ。
いや、新婚カップル?
どっちでもいいや。
だって、悠ちゃんから優しいキスをくれたから。
唇に唇を重ねた優しいキス。
それだけでじんわりと心が温かくなる。
そして、ゆっくりと離された唇は、まだすぐそこにあり、目を合わせて私達は笑いあった。
「あ~」
悠ちゃんの突然の雄たけび、
そして、頭をもたげていた悠ちゃんが再び枕に脱力し、
「会社行きたくねぇ~」
と両手で顔を覆って叫んだ。
こんな駄々をこねる悠ちゃんはレアだけど、私は最近結構対面することが多い。
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