第4章

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あ~、とか、う~、とかベッドの中で悠ちゃんが唸っている。 かれこれ、2、3分。 そんな悠ちゃんが愛しくてたまらない。 「あ~、マジで会社行きたくねぇ~」 「なんか、お腹痛い気がしてきた。頭も痛いかも」 「なんか、だるいかも、もしかして俺、熱もあるかも?」 と、小学生みたいな言い訳をする悠ちゃん。 おかしくて、私は笑ってしまった。 そんなこんなで時計は進む。 さすがにこれ以上、ベッドの中でゴロゴロはしていられない。 悠ちゃん、ほんとに遅刻しちゃうよ。そろそろ準備しないと! だから、 「悠ちゃん。理子、ちゃ~んと家で待ってるから、お仕事頑張って来てね。そして、理子に会いに早く帰って来てね」 そう言って頬に軽くキスをしたら、 悠ちゃんが手をどけて私をジッと見る。 そしてなぜか眉根を寄せた。 あれ?不機嫌? なんで? 怒られるような事はしてないはずなのに――、 渋い表情の悠ちゃんが長い沈黙の後、ようやく口を開いた。 「理子――、それは飴と鞭のどっち?」 「え?」 問われてる意味がわからなくて私はポカン。 「飴のようにも聞こえるし、鞭のようにも感じられる」 「え」 悠ちゃんどうしたの? 唖然としていたら、 「あ~、もうっ!どっちにしたって、行きたくねぇものは、行きたくねぇ」 叫ぶ悠ちゃんにギュッと抱きしめられる。 その5分後、 下から、ゆき枝さんに「遅刻するよ!」と怒鳴られたのは言うまでもない。 あ~、何て幸せな朝。
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