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「ゆうとさん、華はどうして俺に何も言わないのかな?」
「はぁ? そんなの俺が知るわけないだろ」
「だよね……言わないってことは、何もないってことなのかな?」
どうしてそうなる?
んなわけないだろうに……、頭を抱えたくなる俺ーーって、俺も人の事言えない不器用呼ばわりされたことのある残念な男だったけれど、陸も大差のない残念な男だったんだな……。
それを見抜いていたのかどうかしらないけど、隆がもしも知っていたとしたら、神様もびっくりだな。
思わず笑いそうになり堪えたら、陸が自分が笑われたと誤解して、勝手に不貞腐れた。
「真剣に考えてるのに、笑うなよ」
「お前の真剣はどっかずれてるよな」
ははっと笑えば、
「ゆうとさん、人が変わったように意地悪ですね」
目を細めて凄むーーも、全然怖くない。
「お前が可愛い事ばっかり言うからな」
ご機嫌で返せば、
「……」
あ、ちょっと赤くなった。笑える……。
って、あんまりからかっても仕方ない。
コホンと俺は咳払いを一つ。
「いいか、とにかく、華ちゃんとちゃんと話をしろ、わかるか? 話だ、話し」
「してるよ、いつも!」
「お前の話じゃない、華ちゃんの気持ちを聞くんだ」
「聞いてるし、でも華は不満はないっていつも言う」
「いいか、不満はあるか? って聞く男は普通はいない」
「俺は普通じゃないしな、一流だからな」
「って、そういうことを言ってるんじゃないよ、陸」
「は? じゃあ、なんて聞くんだよ」
「彼女が話しやすいように、彼女を楽しませてやれって言ってるの」
「いつも楽しませてるさ」
「家で?」
「いけないのか? 家じゃ」
「家が悪いとは言わない、でも、家でいちゃついてばっかいないで、外に行って彼女が喜ぶようなデートをしろって言ってるの」
「いちゃついてないし!」
「食いつくとこそこ?」
「そこしかないし!」
ものすごい勢いで即答する陸に、俺はある事に気付いてしまった。
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