第1章

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悠ちゃんが私を忘れてしまう……。 悠ちゃんが……?私を? 忘れる? やだ! ヤダヤダヤダ!そんなの絶対やだ! そんなことはあってはならない。 あるわけない!でもこれはもしも、の話…… もしも、悠ちゃんが私を忘れてしまったら…… ―――― ―――――――――― あー、そっか……、自分の中のたどり着いた答えに妙に納得。 思わずクスっと笑ってしまった。 「どうしたの? 何かおかしかった?」 目の前の華ちゃんが怪訝そうな顔をして私を見ている。 「あっ、ごめんなさい。笑ったりして……、別にふざけたわけではないんだけど……、あのっ、ちゃんと真剣に考えてましたよ。でも出た答えが妙に自分らしいっていうか、普通だったので……、思わず笑ってしまいました」 「普通?」 「はい、私はもしも悠ちゃんに忘れられてしまったら――」 「しまったら?」 「振り向いてくれるようにまた頑張るだけです」 「え?」 「悠ちゃんがまた私を好きになってくれるように、自分の好きを大事にして、悠ちゃんに何度もぶつかるだけです!」 「………そう、なんだ」 「はい。これが私の好き、です」 「……理子ちゃんの好き……。そっか、わかった。なんか少しだけ気持ちが軽くなったわ。ありがとう。あなたって本当に面白い考え方するのね」 「面白い、ですか?」 「うん、私あなたの事もっと好きになったわ」 綺麗に笑う華ちゃんは、本当にお姫様みたい。 「私もです、華ちゃんに会えてよかったです」 お互いを誉めあっていることが可笑しくて、私達は顔を見合わせて笑った。
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