第1章

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翌朝、遅めのブランチをとり、別れの時間を迎えた。 「日本に帰ったらまた連絡するから、絶対会おうね!」 華ちゃんが私の手を強く握り、何度も何度も同じ言葉を繰り返す。 その姿を見て、私は嬉しいのとおかしいのとでついニヤニヤ。 するとーー、 「ニタニタすんな!」 華ちゃんの隣で仏頂面の陸さんに注意されたけど、全然怖くなかった。 むしろ陸さんはとても気づかいできる優しい人だと私は思う。 華ちゃんの気持ちにも、もう少し寄り添ってあげればいいのに……、という願いを込めてジーっと見つめていたら、 「穴が開くから見んな!」 とさらなる悪態をつかれ、 「俺の奥さんいじめんな」と悠ちゃんに背中を軽く叩かれていた。 2人のやり取りに、私と華ちゃんは目を合わせて笑いあう。 大切な人が仲良くしてくれるって、すっごい嬉しい事なんだな。 私はすごく恵まれていて、そしてとても幸せだと思う。 ほんと、感謝しないとな…… 「陸さん、連れてきてくれて、ありがとう」 突然お礼を言ったせいか目を丸くしてこちらに顔を向けた。 「あん? 何だ、急に……」 「ありがとうって言いたくて」 「ふ~ん。まぁ、まだ後2日あるだろう。帰る時に迎えに来る」 「悪いな、陸」 「別に……、ついでだ、ついで。さ、華行くぞ」 陸さんは華ちゃんの手を引き、さっさと歩き出そうとする。 「理子ちゃん、バイバイ~」 引っ張られながらも、華ちゃんは何度も振り返って手を振ってくれた。 なんだか、ちょっぴり泣きそうになったけれど、これが別れじゃない。 またすぐに会える。 「大丈夫か?」 隣の優しい悠ちゃんは、すぐに私の気持ちを見抜く。少しセンチになってるのバレバレだったのかな? 「……うん」 「また、会えるよ」 「うん」 「さぁ、俺たちも帰ろう」 悠ちゃんに手を繋がれ、私達は歩き出した。 後一緒にいられるのは2日。 そして私は日本へ帰る。
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