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翌朝、遅めのブランチをとり、別れの時間を迎えた。
「日本に帰ったらまた連絡するから、絶対会おうね!」
華ちゃんが私の手を強く握り、何度も何度も同じ言葉を繰り返す。
その姿を見て、私は嬉しいのとおかしいのとでついニヤニヤ。
するとーー、
「ニタニタすんな!」
華ちゃんの隣で仏頂面の陸さんに注意されたけど、全然怖くなかった。
むしろ陸さんはとても気づかいできる優しい人だと私は思う。
華ちゃんの気持ちにも、もう少し寄り添ってあげればいいのに……、という願いを込めてジーっと見つめていたら、
「穴が開くから見んな!」
とさらなる悪態をつかれ、
「俺の奥さんいじめんな」と悠ちゃんに背中を軽く叩かれていた。
2人のやり取りに、私と華ちゃんは目を合わせて笑いあう。
大切な人が仲良くしてくれるって、すっごい嬉しい事なんだな。
私はすごく恵まれていて、そしてとても幸せだと思う。
ほんと、感謝しないとな……
「陸さん、連れてきてくれて、ありがとう」
突然お礼を言ったせいか目を丸くしてこちらに顔を向けた。
「あん? 何だ、急に……」
「ありがとうって言いたくて」
「ふ~ん。まぁ、まだ後2日あるだろう。帰る時に迎えに来る」
「悪いな、陸」
「別に……、ついでだ、ついで。さ、華行くぞ」
陸さんは華ちゃんの手を引き、さっさと歩き出そうとする。
「理子ちゃん、バイバイ~」
引っ張られながらも、華ちゃんは何度も振り返って手を振ってくれた。
なんだか、ちょっぴり泣きそうになったけれど、これが別れじゃない。
またすぐに会える。
「大丈夫か?」
隣の優しい悠ちゃんは、すぐに私の気持ちを見抜く。少しセンチになってるのバレバレだったのかな?
「……うん」
「また、会えるよ」
「うん」
「さぁ、俺たちも帰ろう」
悠ちゃんに手を繋がれ、私達は歩き出した。
後一緒にいられるのは2日。
そして私は日本へ帰る。
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