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それは、至極、甘く幸せなひと時。
静かな部屋に響くのは私の吐息で、深く深く繋がり、お互いの両手を握りしめあった瞬間。
私の瞳から涙が零れ落ちた。
「どうした?」
すぐに気が付いた悠ちゃんがその唇で私の涙をすくう。
「ごめん、辛い?」
心配そうに私を気遣ってくれる。
首を小さく振って、すぐそこにある悠ちゃんをまっすぐに見つめる。
「幸せすぎて怖いって、華ちゃんが言ってたのを思い出して……、なんか急に涙が出たの……」
「怖い?」
悠ちゃんがほんの少しだけ首を傾げている。
「本当に怖いわけじゃないよ……。ただ、気持ちはわかるなって思ってたから……。今、幸せで……、すごく幸せだから、少しだけ怖くなったのかも……」
「……」
「ごめんね、変な事言って……」
「変だなんて思わないよ……。好きすぎて怖いってことでしょ。俺も同じだよ。理子が好き過ぎだから――」
私も好きって言いたかったけれど、悠ちゃんの唇に私の言葉は飲み込まれ、何も考えられなくなった。
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