第1章

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それは、至極、甘く幸せなひと時。 静かな部屋に響くのは私の吐息で、深く深く繋がり、お互いの両手を握りしめあった瞬間。 私の瞳から涙が零れ落ちた。 「どうした?」 すぐに気が付いた悠ちゃんがその唇で私の涙をすくう。 「ごめん、辛い?」 心配そうに私を気遣ってくれる。 首を小さく振って、すぐそこにある悠ちゃんをまっすぐに見つめる。 「幸せすぎて怖いって、華ちゃんが言ってたのを思い出して……、なんか急に涙が出たの……」 「怖い?」 悠ちゃんがほんの少しだけ首を傾げている。 「本当に怖いわけじゃないよ……。ただ、気持ちはわかるなって思ってたから……。今、幸せで……、すごく幸せだから、少しだけ怖くなったのかも……」 「……」 「ごめんね、変な事言って……」 「変だなんて思わないよ……。好きすぎて怖いってことでしょ。俺も同じだよ。理子が好き過ぎだから――」 私も好きって言いたかったけれど、悠ちゃんの唇に私の言葉は飲み込まれ、何も考えられなくなった。
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