1 『この世は悲しみの音色でできている』

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私には4つ年上の兄がいるが、兎に角、音楽好きで、学生時代は朝から晩まで部屋でギターを弾きながら歌を歌っていた。特に、ビートルズが大好きで、小学生の頃、英語もロクに分からないのに私も一緒に歌わされたりしていた(笑)。 ビートルズと言えば、今も尚、全世界に多くのファンがいる、伝説のロックバンドと言っても良いだろう。そして、私が初めてビートルズの歌を耳にしたのは上述したように小学3年生の頃であったと思われる。ただ、その印象は決して良くはなく、『暗い』、『物悲しい』などであった。勿論、ビートルズの曲には名曲と言われるものがたくさんあり、別段、ビートルズの曲を誹謗するつもりはない。単に、名曲と言われている曲が何故、私には暗く感じられるのか、その点を明らかにしたいだけなのである。 私も人並みに音楽は好きなのでビートルズの曲もたまに聞いたりしては来た。ビートルズの曲の中で私が特に好きなのは『オ・ブラデ・オ・ブラダ』である。アップテンポ、かつ、明るい曲調に私のみならず魅力されている人も多いと思う。だが、曲感はと問われれば、やはり、私は『物悲しい』としか答えるしかない。このように、いつ聞いても、幾つになって聞いても、暗いという印象が変わる事はなかったのである。 最初、私はビートルズが生まれ育ったイギリスの風土や地形、歴史などの『暗い』というイメージが曲に影響しているのかと思った。そして、そう感じるのはビートルズの曲だけかと思ったが、そうではなかったのである。クラッシクは勿論、あらゆる明るい曲調の音楽を聞いてはみたが、余韻はやはり、どこか物悲しいのである。確かに、心が落ち着く、心地好い曲も多くある。だが、結局は物悲しいのである。 これは一体どういう訳であろうか。元来、音楽を形作る音というものは自然が作り出す雨音や風の音、動物の鳴き声、私達人間が生活の中から生み出した音、例えば、野菜を切る音や石を叩く音などをベースにしているのであり、そこに一定の法則を与えたものが音階と呼ばれるものである。即ち、私達の身の回りにある音を拾い集め、そこに何らかの規律を与えたものが音階なのである。従って、そういう
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