第1章

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8時も過ぎると、少し店内は混んで来て、近くの会社のサラリーマンが3人、長椅子に座り、ボトルキープの「いいちこ」をお湯割で飲んで、「あれ?新人さん?」と小太りの40代薄らハゲに言われた。 「あ、はい、今日からです。夏穂と言います、宜しくで~~す」と この頃になると 挨拶も適当で、お願い致しますも省く。 いいちこには鎌倉電業ってネームと、自虐?って感じのハゲたオヤジのキーホルダーみたいなのが下がってる。 おそらく、会社の女の子が 「これ課長に似てる~~。あげる~~」かなんか言って、小太りも悪い気しないから、いいちこに掛けてんだろうなぁ?とか、勝手に想像して、せつなくなった。 その後、50代の小太りのおばちゃんが入って来て、カウンターに座ると「ママ、ビール。この前入れたボトルまだ残ってる?」と言って、私をチラ見した。 私は「あ、いらっしゃいませ、夏穂です。宜しくお願いします」と少し緊張した。 「なに、ママ、又新しい娘入ったの?」と、私の挨拶には返事をせずにママに話しかけた。 ミヨ子さんと言うこのおばちゃんは、介護福祉センターにパートで勤めてるらしく、センターのジジババの愚痴を山のようにこぼしていた。
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